今にも雨が降り出しそうないやな空です。少し頭痛がするのでそろそろ降ってくると思うのですが、降るなら降るで早くしてほしいです。(降りだすと頭痛なくなる)
さて、先ほど久しぶりにじっくり検索キーワードを見ていたのですが、100位以下のかなり下の方に「ふぐ おいしくない」というキーワードを見付けました。
立場上どういう反応をすれば正解なのか分かりませんがその気持ちはよく分かります。実際に「河豚って美味しくないよね?」と言われることもあります。
ですが、これは美味しくない河豚を食べた故の感想ではないかなと思います。フグにしてみればとんだ名誉毀損です。
では美味しくないフグとは何かということで今回のブログです。
河豚は美味しい
まず、当店で扱っている河豚は「トラフグ」ですので、虎河豚に限定して話をすすめます。が、他の種類の河豚に関しても大体は同じです。
美味しくないという状況と心情は分かりますが河豚は美味しいです。
てっちり鍋(注)の〆につくる雑炊なんて旨すぎて何の味付けも必要ないんじゃないかと思うほどです。
ですが、美味しくないフグもいます。
美味しいフグ、美味しくないフグの違い。色々言われていますが、1番大きいのは「フグを〆てからの時間」です。
締めたての河豚は美味しくない
最近は魚も適切に熟成させれば美味しくなる ということが認知されてきましたが、それでも魚は釣りたてが1番美味しい、と考える方は依然多いと思います。2000年前後にブームを引き起こしたイケス型居酒屋もその例ではないかと思います。
魚の味とは
魚は(肉も)、締めてある程度時間を置くことで体内のタンパク質が分解されアミノ酸などのうま味に変質することで初めて「味」として認識できるようになります。
締めて間もない魚を食べても、味がないただコリコリした食感を感じられるだけのです。それを是とする方もいらっしゃいますので強くは言いませんが、私はおいしくないと感じます。
河豚に話を戻しますが、今まで私が聞いた中では、老舗料亭、有名フグ料理店で締めたてのフグでフグ料理を作るお店はありません。てっさ(= ふぐ刺し)も同様です。
フグの本場と言われる下関のフグ料理店で働いていた方と話したことがあるのですが、その方のいたお店ではフグは1日寝かせたものしか使わないと仰っていました。
私も修行時代、締めたてのフグを何もつけずにつまみ食いしたことがあります。
感想は「ゴム食べてる感じ」
味もしゃしゃりもありませんでした。
その日の営業終了後、同じフグが少し残ったのでまたつまみ食いしてみましたら、まるで別物。
例によって何もつけずに食べましたが、十分美味しい。びっくりするぐらい美味しかったのでもう一キレ食べました笑
アミノ酸とか熟成とか何も知らない頃でしたが、魚を寝かせることの大切さを肌で学んだ瞬間でした。
天然と養殖で味は変わるか
河豚に関しては、はっきり言って2つの違いを見分けるのはかなり難しいと思います。
たとえば今月末あたりからブリが始まりますが、ブリなら簡単です。脂の量と質がまったく違いますから、「私、味の違いが分からないので〜」などと謙遜なさる方でも確実に分かります。全然ちがいます。
ところがフグにはほとんど脂がありません。
あんなぶよぶよした見た目ですがフグの体脂肪率は1%以下だそうです。ほとんどがタンパク質だけという珍しい魚です。それだけに寝かせたときのうま味が物凄いのですが、逆に寝かせていないフグは脂の甘みもなく、食感しかないわけです。
しばしば聞く、「てっさなんてポン酢の味次第でしょ?」という意見の原因はこれです。
美味しいフグは少し塩ふるだけで美味しいです。少し厚めに(5mmぐらい)切って炙って塩ふったら絶品です。出来る環境にある方は騙されたと思ってやってみてください。
というわけで、河豚食べるのならある程度熟成させましょうという話でした。
最後に広告しておきますが、当店で通販している「てっちり鍋セット」は届く頃が食べ頃です。
河豚なんて美味しく無いという方にこそ、ぜひぜひお召し上がりいただければと思います。
では。