うまみ 旨味 umami。うま味について考える

出汁のうま味

去る2月26日日曜日、神戸の相楽園にて鹿について学ぶ「文鹿祭」がありました。(文鹿祭についても近日中に書きます)
私が「鹿」と聞くと真っ先に思い浮かぶのが、世界一のレストランといわれるNOMAの鹿節です。(二番目が奈良公園です)

 

日本のかつお節を参考にしヨーロッパ人の味覚に沿う形で うま味を凝縮させたものが鹿節。
NOMAでは鹿節以外にも数々の自家製うまみ調味料を使っているのですが、今回は「そもそもうま味とは何だ?」というブログを書いてみようと思います。

 

うま味が発見されたのは2002年

それまで漠然としたイメージ、風味のようなものとして考えられていた旨味が実在するものだというニュースが流れたのはたしか2002年のことでした。

 

食べ物に関係した仕事でもしていない限りあまり気にもならないでしょうしご存知ない方も多いのではと思います。
そもそも「うま味が実在する」とはどういうことなのか分かりにくいですしね。

 

 

うまみを認識するセンサーがある

よく言われるのは昆布の旨味や椎茸の旨味。
秋の鯛しゃぶ鍋をつくったときのブログでも少しうま味について書きましたが、甘いでも辛いでも酸いでも苦いでもない、「なんと言えばよいのか分からないけれど何か美味しいもの」を指す言葉”うまみ”。
元々は甘みや苦味のように明確なものではなく、香りをともなった風味のような漠然としたものだと思われていました。

 

うまみは繊細な味覚の日本人にしか分からない! なんて豪語されていた時代もありましたが今は昔。2002年、舌の表面にうまみ成分の1つであるグルタミン酸を認識する受容体(センサー)があることが発見されました。
もちろん人類共通のセンサーです。

 

うま味を認識するセンサーは普遍的なものなのに、どうして日本以外の国では気付かれなかったのか。
日本人が古くから昆布など(グルタミン酸が豊富)を食べていた変わった民族であることも勿論ですが、おそらく調理法の違いが理由の1つだと思います。

 

 

日本とヨーロッパの調理の違い

たとえば料理に甘みを出したいとき日本では砂糖を足しますが、ヨーロッパでは野菜の色が変わるまで長時間炊いて野菜から甘みを出したりします。あまり料理に砂糖は使いません。
”和食が好きだったけど作り方を知ってから食べられなくなった”という外国の方もいらっしゃるそうです。どちらが良い悪いではなく価値観や文化の違いです。

 

つまり野菜にしても肉にしてもじっくりと加熱する場合がほとんどです。その間うま味だけでなく肉の脂やコラーゲンなどのゼラチン質もどんどん出てきます。うま味は豊富でも色々なものに邪魔をされて分かりにくいのです。

 

一方で日本人はとにかくうま味だけを抽出する為に長い月日をかけて昆布やかつお節を作ります。時間をかけて抽出した「うま味」を利用して調理自体は比較的短時間で仕上げます。

 

この調理法の違いがあったからこそ、他国では”うま味”の存在に気づけなかったのではないかと思います。
2002年にうま味が発見されて以降世界中の才気あるシェフが発奮し、うま味を使った料理が研究・開発されています。

 

舌以外にもうま味センサーがある

うま味は味覚以外に胃や腸にもセンサーがあるらしく、うま味を利用した認知症治療や肥満予防などの研究もなされているそうです。

 

この辺は専門外なので、知ったことを簡単に書きますと、

 

 

・口(舌ではなく)がうま味を認識すると、唾液を出すように脳に指令がいく。唾液のアルカリ性で口中が中和される → 虫歯予防

 

・胃のセンサーがうま味を認知すると消化液を分泌させて消化を促進する。(消化・吸収を効率よくする)

 

・腸がうま味を認識すると満腹中枢に信号を送り満腹感を伝える。(過食の予防)

 

 

以上に加え、食事中絶えずこれだけの信号が脳に送られるわけなので脳も活性化するというわけです。

 

 

幸い日本人に生まれたので、普段特別にうま味を意識することはなかなかありませんが、ちょっと調べてみただけで知らないことがたくさんです。

 

 

いつの間にか日本人よりも他国の料理人の方がうま味に詳しくなっていた、なんてならないように、もう一度改めてしっかり勉強しようと思います。

 

ではまた。


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