鱧の骨切り

そろそろ梅雨時、鱧がどんどん出回り始める時期 ということで、鱧の話が続きます。

 

ハモは小骨が多いので骨切りが必要 ということはご存知の方も多いのではないかと思います。
一説によると、骨きりの技術が伝わらなかったことが関東でハモを食べる文化が根付かなかった原因の1つだとか。

 

今回はハモの骨切りのお話です。

鱧の小骨は全部で何本?

鱧の骨は3500本あるらしいです。
京都にお偉い方がいらっしゃいまして、2年もかけてハモの標本を作られたんですね。非常に根気がいる作業です。脱帽&尊敬します。私には真似できません。

(画像を無断使用するわけにはいけないので、標本を見たい方は吉田生物研究所HPにどうぞ。)

 

 

で、小骨の数から歯の数まで数えてくださったそうです。

歯は全部で391本あるらしいですよ。ぞっとします。私の親指が無事で本当に良かったです(*前記事参照)

 

骨切りせずに、刺身で食べられるのか?

鱧を湯引きや焼き霜じゃなくって、お刺身に出来ないの?」と聞かれたことが何度かありますが、不可能ではありません。(私はやったことがありませんが。)
しかし、簡単ではありません。
「鱧のお造り」をご用意している店は全国でも10軒あるかどうかというところではないでしょうか。

 

小骨が多すぎるのも勿論ですが、その上ハモの小骨は枝毛のようにY字型に分岐しており、単純に真っ直ぐ抜けば良いというわけではないのですね(そんなことしたら身が潰されますからね)。

 

ハモのお造りを出されている人に伺ったところによると、最初は1匹仕込むのに半日かかったそうです。(骨きりなら1分ですね)
今では手慣れたのでもっと早いそうですが、それでも1時間半近くかかるそうです。普通に骨切りしてたら何匹仕込めることでしょう。

 

それだけの手間が掛かるわけですから、鱧のお造りは高額になります。
1時間半もかかるので、前もって聞いておかないとご用意するのも難しいです。

 

あと個人的な意見ですが、1時間半も常温にさらされたハモの身は旨いのだろうかと品質が心配になります。
まぁそういうわけでして、ハモは骨切りするのが定石です。

 

 

骨は切っても皮は切らず

骨切り

骨は皮の手前までありますので、浅く切ってしまうと骨が残って食べたときに口にあたります。
しかし深く切りすぎると皮が切れてしまい形が崩れます。
皮のギリギリ手前まで切って皮は切らず の状態がベストです。
さらに、ハモの骨は若干傾斜しており、6度ぐらい包丁を傾けてやった方が良いです。

 

文字にすると非常に難しいように見えますが、慣れれば誰でもできます。
私は不器用ですし料理の才能なんて欠片ぐらいしか無いと思っていますが、そんな私でも出来るのですから、慣れれば誰でも出来るものだと思っています。
包丁はちゃんと研いでおかないといけませんけどね。切れない包丁でやると、鳥についばまれたような仕上がりになりますから。

 

きちんと骨切り出来ていれば、小骨が口にあたることもなく湯を通しても味が抜けてしまうことがありません

 

 

鱧薄造り
鱧の湯引きを食べられて水っぽいとお感じでしたら、それは骨切りが雑だったせいで身の中に余分に水分が入ってしまったということでしょう。(他にも理由はありますが。)

 

他の魚はまだしも、鱧はやっぱりきちんとしたお店で食べられたほうが良いですよ。

 

 

まとまり悪い終わり方ですが,今回はこれまで。

ではまた。


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